大阪地方裁判所 平成2年(わ)1610号 判決
本店所在地
大阪府門真市石原町七番五号
株式会社千石
(代表者代表取締役 千石勅治)
本籍
徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字土佐泊六四番地の一
住居
大阪府寝屋川市八幡台八番二五号
会社役員
千石勅治
昭和一三年三月三〇日生
右両名に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官梶山雅信出席の上審理して、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社千石を罰金二二〇〇万円に、被告人千石勅治を懲役一年に処する。
被告人千石勅治に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社千石(以下、単に「被告会社」という。)は、大阪府門真市石原町七番五号に本店を置き、砂利販売業等を営む資本金三〇〇〇万円(昭和六二年一月二三日までは八〇〇万円)の会社、被告人千石勅治は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告千石勅治は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 昭和六一年二月一日から同六二年一月三一日までの事業年度における実際所得金額が四五二一万九一八三円(別紙〈1〉修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、架空の仕入を計上するなどの行為により所得の一部を秘匿した上、同年三月三〇日、大阪府門真市殿島町八番一二号所在の所轄門真税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三六四万二八九五円で、これに対する法人税額が八四万三六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により、正規の法人税額一八四三万九四〇〇円と右申告税額との差額一七五九万五八〇〇円(別紙〈4〉税額計算書参照)を免れ
第二 昭和六二年二月一日から同六三年一月三一日までの事業年度における実際所得金額が九五六九万八〇一九円(別紙〈2〉修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、前同様の行為により所得の一部を秘匿した上、同年三月二九日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二一九七万六五八三円で、これに対する法人税額が八一七万二〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により、正規の法人税額三九一三万五三〇〇円と右申告税額との差額三〇九六万三三〇〇円(別紙〈4〉税額計算書参照)を免れ
第三 昭和六三年二月一日から平成元年一月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億一七二五万九四七六円(別紙〈3〉修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、前同様の行為により所得の一部を秘匿した上、同年三月三一日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が九五二万一八五五円で、これに対する法人税額が二九二万四八〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により、正規の法人税額四八一七万四七〇〇円と右申告税額との差額四五二四万九九〇〇円(別紙〈4〉税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人千石勅治の当公判廷における供述
一 被告人千石勅治の検察官に対する供述調書二通
一 被告人千石勅治に対する収税官吏の質問てん末書二〇通
一 千石公生(二通)、榎並幸一郎(二通)及び早田武司の検察官に対する各供述調書
一 谷本政利(二通)、千石ツヤ子、轟清子、大平純子、千石公生(六通)、榎並幸一郎及び早田武司に対する収税官吏の各質問てん末書
一 収税官吏作成の査察官調査書一二通(検察官請求分証拠等関係カード番号11から21、25。以下、括弧内の算用数字は同カード中の番号を示す。)
一 検察事務官作成の捜査報告書
一 門真税務署長作成の証明書(8)
一 法人登記簿謄本及び閉鎖登記簿謄本
判示第一の事実について
一 各質問てん末書
一 収税官吏作成の査察官調査書四通(12から16)
一 門真税務署長作成の証明書(4)
判示第二及び第三の各事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書四通(9、10、24、26)
判示第二の事実について
一 門真税務署長作成の証明書(5)
判示第三の事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書二通(22、23)
一 門真税務署長作成の証明書(6)
(法令の適用)
被告人千石勅治の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予することとする。
さらに、同被告人の判示各所為はいずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算した金額の範囲内で被告会社を罰金二二〇〇万円に処することとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 的場純男)
別紙〈1〉
修正損益計算書
昭和61年2月1日
昭和62年1月31日
株式会社 千石
〈省略〉
別紙〈2〉
修正損益計算書
昭和62年2月1日
昭和63年1月31日
株式会社 千石
〈省略〉
別紙〈3〉
修正損益計算書
昭和63年2月1日
平成元年1月31日
株式会社 千石
〈省略〉
別紙〈4〉
税額計算書
株式会社千石
〈省略〉